唐人町に江戸時代から受け継がれている唐団扇のマークです。

唐団扇 – 唐人町中年会により江戸時代から受け継がれるマーク

公開日: 2021-11-09 最終更新日: 2023-08-14

福岡市博物館で「唐団扇がつなぐもの」という企画展示が公開されているので見に行ってきました。

「唐団扇(とううちわ)」、通称トウセンは、字の如く中国風のうちわのことで、瓢箪のような形や円形をしています。かつては戦国武将が指揮をとる際に使用しました。今では軍配団扇として相撲で使われているとのことです。相撲の行司が手に持ち、勝った力士を示すのに使われているあれです。

唐団扇のマークが町の組織で今も使われています

この唐団扇をかたどったマークが、唐人町で江戸時代から現在に至るまで使われていると博物館の展示説明に記載がありました。唐人町には初午祭、八兵衛地蔵夏祭りなどの行事があり、歴史や文化を受け継ぎ、地域住民の交流がなされています。これら行事を運営している「唐人町中年会」という組織の寄り合いでは、この唐団扇のマークが描かれた座布団などが使われているとのことです。

勇敢な唐人町の火消組に黒田藩主から与えられた特別許可

この唐団扇のマークは、最初は江戸時代に唐人町地域の消防担当班である火消組の標識として使われたそうです。展示室には、四角形をあしらったデザインの「角つなぎ法被」が展示されています。

江戸時代、福岡城内であった大火に一番乗りで駆けつけた唐人町の火消組は、藩主から火事の時に城内に入る特別の許可を与えられます。唐人町の火消組とすぐ判別できるため、この法被とともに唐団扇が標識として使われたのでした。

唐人町のシティプライドが伝わってきます

そう、この唐団扇は、唐人町の名誉であり、誇りのシンボルであるのですね。江戸時代以降も、寄り合いや集まりの際に使う幔幕に描かれたり、別の地域組織の盃にもデザインされました。唐団扇を見ていて、唐人町の地域住民の方々が昔から受け継いで大事にしている町の誇り、シティプライドを強く感じました。

唐人町に住んでいる人、住んでみたい人に必見

「唐団扇がつなぐもの」、何気なく暮らしている町に、このような息吹が根付いていることを感じさせてくれるとてもいい展示だと思いました。唐人町に住んでいる人はもちろん、唐人町に興味がある人、これから唐人町に引っ越して住んでみたいと思っている人には必見の展示ではないでしょうか。「唐団扇がつなぐもの」展、福岡市博物館で2021年8月31日(火)から行われていて、最終日は11月14日(日)です。この機会にぜひお見逃しなく。

福岡市博物館 唐団扇がつなぐもの